
6月20日(土)16:00〜18:15
出演:天津青年京劇団
キャスト:
項羽…猛広禄(文)、王立軍(武)
虞姫…趙秀君
【ものがたり】(NIKKEI EVENT GUIDEより)
秦の始皇帝が没し、群雄割拠する中国で、最後に覇権を争った項羽と劉邦の戦いを軸に、項羽と虞姫の悲恋を描いた物語。
秦の始皇帝が没するとひとつの反乱は次の蜂起を誘発し、燎原の火のごとく中国全土に広がっていった。紀元前206年のことである。
政権を争って群雄割拠するなか最終的に競った武将は、楚の貴族の末裔・項羽(こうう)と江蘇北部の町で無頼漢の頭領から身を起こした劉邦(りゅうほう)であった。
二人は幾度も対戦するが、‘西楚の覇王’と呼ばれ古今無双の勇猛を誇る項羽の戦力は揺るがず、常に劉邦は下風に立たされた。
圧倒的に優勢な項羽軍に対し、劉邦軍は巧妙に立ち回って和議に持ち込み、根拠地・彭城(ほうじょう)に撤退する項羽軍をすかさず追撃した。
韓信(かんしん)率いる大軍勢も劉邦軍に加わった。智将韓信は、兵力が不足している項羽軍の実情を見抜き、ある策を劉邦に提案した。
投降を装った者を項羽の陣営に送り込んで出陣を促し、伏兵を配した九里山に誘い込み、項羽軍を完全に包囲するというものだった。さっそく李左車(りさしゃ)が遣わされる。
困窮する項羽が各地の救援をひたすら待つところに李左車がやってくる。漢に背いて項羽に献策したいという李左車の言に、項羽は惑わされる。
さらに韓信が檄文を飛ばして項羽を嘲笑しているという鍾離昧(しょうりまい)の報告を聞き、かっとした項羽は、周蘭(しゅうらん)や虞子期(ぐしき)の反対を振り切って李左車の進言を容れ、翌日の出兵を決意する。
長年にわたって項羽に付き従い戦場でも片時も離れなかった愛妾・虞姫(虞美人)は、虞子期からの報告を聞き、それとなく項羽に出兵を考え直すよう勧めるが、誰も項羽を止められなかった。
九里山で対峙した項羽と劉邦。自らの武勇を恃む項羽は漢の挑発に乗り、どんどん山に入っていってしまう。韓信の思うつぼであった。
激しい戦いの末、ついに項羽は垓下(がいか)に包囲され、孤立する。韓信はさらなる一手を考えていた。
疲労困憊して帰還した項羽を精一杯励ます虞姫は、心の底で戦の無常を慨嘆する。
そこに四方八方から故郷の楚の歌が聞こえてくる。実はこれこそ、兵士たちに楚の歌を習わせて、楚の陣営まで聞こえるように歌わせるという漢の巧みな策略で、聞いた楚の兵士たちは里心がついて離散し、また項羽は「劉邦が楚の地を取った、祖国も劉邦に寝返った」と意気もついえ、虞姫や愛馬・烏(う)に別れの言葉をかける。
虞姫は項羽を舞いと歌で慰めた後、足手まといになるまいと自刎した。
覇王項羽は、敗色を自らの強豪ぶりを示すことで払拭しようと最後の力を振り絞り、阿修羅のごとく先陣を駆け包囲を突破する―――。
京劇には
「文戯」と
「武戯」がある。
「文戯」とは主に役者の歌唱と台詞によって物語を進行していく芝居で、音楽面では京胡、京二胡など弦楽器と管楽器を中心に唱の伴奏が行われる。
「武戯」とはストーリー展開上立ち回りが中心となり、京劇独特の身体的訓練をフル活用したアクロバティックな動きや、殺陣、集団技などを見せる芝居である。
京劇『覇王別姫〜漢楚の戦い〜』は、項羽と虞姫の愛情を軸に、漢と楚の興亡が描かれるため、約二時間の上演の中で「文戯」中心の場面と「武戯」中心の場面がはっきり分かれる。
そこで「文戯」「武戯」それぞれを得意とする役者によって項羽役は二人一役で演じられることになった。
【感想】
ちょうど午前中、大阪での仕事だったので、久しぶりの京劇を観劇。今回で3回目。
レスリー・チャンの映画『さらばわが愛 覇王別姫』が大好きで、昨年、少年隊の東の舞台を見て、京劇における『覇王別姫』も知っておこうかなと思って。
以前はいろんなことが分からなかったので、新鮮だった気がするんだけど…。
今回は、劇団による違いなのか、演目による違いなのか、はたまた演出の違いなのか、1幕は何だか退屈で面白くなかった。睡魔との闘い

「鞭」(馬に騎乗した状態を表している)を持ち、背中に「旗」(1本で4騎の軍勢を表し、最大4本で16騎)を4本立てた将軍たちがぐるぐると廻るだけ。
銅鑼がかき鳴らされることでリズム感が生まれ、群舞の所作の美しさはあったけど、躍動感はなかったような気がする。
京劇独特の歌声は分かっているけど、何だか声質が好みじゃなかったのかな?
項羽はいわゆる口パクだから、何だか違和感があるし、虞姫の声もキンキンしすぎ?もう少し声に色気が欲しい。
主演は国家一級俳優なので、上手いには上手いんだけどね。中国語といっても地方によって言葉は違うっていうから、その辺の音とかの好みがあるのかな?
2幕はいよいよ漢楚の戦い。
やっぱり戦闘シーンは物足りない。アクロバティックな演技がなかったからかな。
「四面楚歌」という言葉の由来は知ってたけど、この二人の戦いだったとは知らなかったわ。
虞姫の2本の剣を使った舞はお見事

手首の返しの柔らかいこと。
最後ののけ反った決めのポーズも格好良かった

ここだけは大喝采でした。
項羽の足手まといになってはと自害する虞姫。映画や舞台に使われた虞姫はこのシーンと重ね合わせているんだね。
愛馬を失い、項羽の最後のシーンはちょっと感動的だった。